| 圧倒的なパワー、完成された過激さをそれぞれ備え持つ板橋と林。このふたりの合体は予定の無い大調和へと向かい、どこへ連れ去られるかわからない展開は、むしろ安心感を覚える。
このタッグ・チームは、往年の日本プロレス、ブッチャー＆シンの極悪コンビに敢然と立ち向かった、イ ンタータッグ王者・馬場＆猪木チームの完結へと向かう巨大な即興性に例えられるかもしれない。 林作の大バラード「鶴」では目の前に荒野が浮かび、胸いっぱいに鉛の涙がたまる。 激しく揺さぶる即興曲は、ある種スポーツ感覚の爽快感にもあふれる。板橋の右手からは凶器のスティ ックが振り下ろされ、その乱打に林は張り裂ける咆哮で答える。 板橋作「悲しき兵士」では本人の語りかけも含め、メッセージ性にもあふれ、強烈な主張が突きささる。 もはや様式美ともいえる存在感を放つタッグマッチは、怒涛の延長戦アンコール４曲連続になだれこんでいったのである。 |