即興曲｢TEN-ONの夜｣よりｽﾀｰﾄ。ｵﾘｼﾞﾅﾙ、唱歌なども交え、圧倒的なｿﾛを展開した。 まさに格闘技的ﾊﾟﾌｫｰﾏﾝｽ。ｴﾙﾎﾞｰ、ﾁｮｯﾌﾟで鍵盤はつぶれ、急激に踏み込まれるﾍﾟﾀﾞﾙは大きく悲鳴を上げる。椅子までも中空からのﾋｯﾌﾟﾄﾞﾛｯﾌﾟできしみ、ﾀﾞｳﾝ寸前。 ﾊﾟｰｶｯｼｮﾝ類を味方につけ、右手の凶器と化したｽﾃｨｯｸでのとどめの弦叩き一撃で断末魔の叫びを上げる。我が｢TEN-ON｣のYAMAHA中型ｸﾞﾗﾝﾄﾞﾋﾟｱﾉは、なすすべを失って怯えるのみである。 おどろおどろしいまでにﾛﾏﾝﾁｯｸな旋律を、この世の終わりを見せるほどに破壊的に演じる演者にただ涙を流し、大笑いし、ひれ伏したのであった。
２部 セッション
板橋文夫(p) 田村和孝(g) 岡本博文(g) 仲田哲也(g) 平峰慶信(b) 張木浩司(b) 中田圭祐(d)
3人のｷﾞﾀﾘｽﾄひとりずつをﾌｨｰﾁｬｰし、ｽﾀﾝﾀﾞｰﾄﾞ曲をﾋﾟｱﾉとのﾃﾞｭｵにて行う。その後、ﾂｲﾝﾍﾞｰｽをﾒｲﾝに全員でﾌﾘｰｷｰなｾｯｼｮﾝに突入。
ﾗｲﾌﾞの前、昼間にﾘﾊｰｻﾙを行ったのであるが、特に若手に対して、自分を素直に大胆に表現するよう、厳しい叱責がとんだ。常日頃、表面的にきれいにみせる演奏をしがちな奏者に対しての強烈な刺激であった。切れそうなﾃﾝｼｮﾝとｶﾞｯﾂを全員が携え、がっぷりと応える板橋氏により捨て身の演奏となった。
ﾌﾟﾛｸﾞﾗﾑ最後｢ﾅｲﾛﾋﾞの夜｣では聴衆も参加し行き着き先不明の大ｾｯｼｮﾝ。それでも飽きたらず、時間無制限のﾌﾞﾙｰｽへとなだれ込む。その後場外でへたりこんだ板橋氏を呼び戻そうと奏者、お客さん全員の拍手は鳴りやまなかったのである。